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世界最高の水酸化物イオン伝導性を示すナノシートを発見

~高効率な固体アルカリ燃料電池等の実現に期待~

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)

NIMSの研究グループは、層状複水酸化物ナノシートが10-1 S/cmに達する非常に高い水酸化物イオン伝導性を示すことを発見しました。

概要

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の馬仁志准主任研究者、佐々木高義拠点長らの研究グループは、層状複水酸化物ナノシートが10-1 S/cmに達する非常に高い水酸化物イオン伝導性を示すことを発見しました。この伝導率は従来の水酸化物イオン伝導体と比べ10~100倍という高い値で、無機アニオン伝導体の中でも世界最高であり、固体電解質としてアルカリ燃料電池や水電解装置等への応用が期待されます。
  2. クリーンなエネルギー変換技術として注目される燃料電池では、電解質として水素イオン伝導体 (例えばNafion®) を用いる方式が主流です。しかし、強酸性環境中での動作となるため、使える触媒が白金系金属にほぼ限定されるなどの制約があります。伝導イオンとして水素イオンの代わりに水酸化物イオンを用いる方式も可能です。その場合アルカリ性環境中での動作となるため、Fe, Co, Ni等の遷移金属元素を触媒として使用できるため、コストを大幅に低減できると期待されています。しかしながら、既存の水酸化物イオン伝導体は、水酸化物イオンの伝導率が10-3〜10-2 S/cmと低いことが大きなネックとなっています。実用化に向けては、水素イオン伝導体に匹敵する10-1 S/cm前後のイオン伝導率を持つ材料の開発が強く求められていました。
  3. 今回の研究では、層状複水酸化物を化学反応により層1枚にまで剥離し、得られた単層ナノシートのイオン伝導度を測定しました。その結果、室温付近で10-1 S/cmに達する極めて高い値を示すことを見出しました。単層ナノシートの表面が多くの水分を吸着し、水酸化物イオンが自由に動くことができるようになり、イオン輸送特性が著しく向上するためではないかと考えられます。この伝導率はこれまでに報告されている水酸化物イオン伝導体の中で最も高い値であることに加えて、ナノシートの厚み方向の伝導率に比べて4〜5桁も高く、究極の2次元ナノ構造に由来した機能であると解釈されます。
  4. 今回の成果は長年待望されていた水酸化物イオン駆動型の固体燃料電池実現に向けて大きな一歩となると期待されます。今後は、発見した優れた2次元イオン伝導機能が最大限に発揮できるようなデバイス構造の設計が燃料電池や水電解装置の固体電解質層として応用するための鍵となります。
  5. この研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金基盤研究 (B) 「低次元ナノ構造水酸化物の形態や構造制御による機能チューニング」の支援を受けて得られたものです。
  6. 本研究成果は、現地時間 4月 14 日午後2時 (日本時間15日午前3時) に米国科学雑誌Science Advancesのオンライン版で発表される予定です。(DOI: 10.1126/sciadv.1602629)

「プレスリリースの図1: 層状複水酸化物板状結晶を最小基本単位である層1枚にまで剥離したナノシートが高い異方性イオン伝導特性を示す。」の画像

プレスリリースの図1: 層状複水酸化物板状結晶を最小基本単位である層1枚にまで剥離したナノシートが高い異方性イオン伝導特性を示す。




本件に関するお問い合わせ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
ソフト化学グループ
准主任研究者 馬仁志 (ま るんじ)
TEL : 029-860-4124
E-Mail: MA.Renzhi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
拠点長 佐々木高義 (ささき たかよし)
TEL : 029-860-4313
E-Mail: SASAKI.Takayoshi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
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