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デバイス自ら学習して判断する「意思決定イオニクスデバイス」を発明

~イオン・分子濃度を計算処理とメモリに利用 新しい人工知能システムに向けて前進~

2018.09.08


国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)

NIMSは、経験をイオンや分子の濃度変化として記憶し、デバイス自ら迅速に意思決定を行う「意思決定イオニクスデバイス」を発明し、その動作実証に成功しました。

概要

  1. NIMSは、経験をイオンや分子の濃度変化として記憶し、デバイス自ら迅速に意思決定を行う「意思決定イオニクスデバイス」を発明し、その動作実証に成功しました。このデバイスでは、過去の経験をコンピュータのメモリで蓄積する必要がなく、それに基づく意思決定のための計算処理も不要のため、状況変化に効率的に適応して判断を行うことができます。このデバイス開発により、ソフトウェアの働きでデジタル情報処理をする従来の人工知能(AI)システムと全く異なり、ハードウェアの物性を利用してアナログ情報処理を行う新しいAIシステムの開発が期待されます。
  2. 情報通信、製造、経済や娯楽などの様々な社会活動において、状況を素早く判断して最適な行動を意思決定するためのAIシステムの開発が重要となっています。近年、そのための技術として、高度なプログラムを用いながらコンピュータで計算処理を行うAI開発が精力的に進められています。しかし、膨大な情報と高度なプログラム処理に基づいて判断するため、選択する課題が複雑化して情報量が更に増加すると、処理時間が長くなり消費電力も増加するという課題がありました。
  3. 本研究グループは、固体電解質内の水素イオンの移動が引き起こす電気化学現象を利用して動作する意思決定イオニクスデバイスを開発しました(図1)。正しい判断を繰り返すことで、一方向に反応が進み、イオンや分子の濃度が偏り、よりその判断をしやすくなります。この仕組みを用いて、無線通信において、混雑した通信ネットワークの状況変化に適応して通信量を最大化するための最適な通信チャネル(周波数帯域)を選択することに成功しました。さらに、複数の利用者が互いにチャネルを譲り合って全体の通信量を最大化するという、より高度な問題においても最適なチャネルの選択が可能でした。
  4. 今後、本成果をもとに高性能・高集積化等を行い、通信ネットワーク問題だけでなく、製造、金融取引など、報酬確率が異なる複数の選択肢から利益を最大化する選択を行う複雑な問題の解決を目指します。さらには、この技術を応用して、生物の様にプログラム無しでも動作する新しい原理のAIシステム (人工脳) の開発へと発展させる予定です。
  5. 本研究は、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点ナノイオニクスデバイスグループの土屋敬志主任研究員、鶴岡徹主幹研究員、金成主NIMS特別研究員(現 慶應大学特任准教授)、寺部一弥グループリーダーと同研究拠点青野正和エグゼクティブアドバイザーとの共同によって行われました。
  6. 本研究成果は、米国科学誌「Science Advances」誌のオンライン版にて現地時間2018年9月7日午後2時 (日本時間8日午前3時) に掲載されます。

「プレスリリース中の図1 : 水素イオンの移動による電気化学現象を利用して学習と判断を行う意思決定イオニクスデバイスの概略図。」の画像

プレスリリース中の図1 : 水素イオンの移動による電気化学現象を利用して学習と判断を行う意思決定イオニクスデバイスの概略図。



掲載論文

題目 : Ionic Decision-maker Created as Novel, Solid-state Devices
著者 : Takashi Tsuchiya, Tohru Tsuruoka, Song-Ju Kim, Kazuya Terabe, and Masakazu Aono
雑誌 : Science Advances
掲載日時 : 現地時間2018年9月7日14時 (日本時間8日3時)  オンライン掲載
DOI:10.1126/sciadv.aau2057


本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
ナノシステム分野 ナノイオニクスデバイスグループ
主任研究員 土屋 敬志 (つちや たかし)
TEL: 029-860-4563
E-Mail: TSUCHIYA.Takashi =nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 
ナノシステム分野 ナノイオニクスデバイスグループ
グループリーダー 寺部 一弥 (てらべ かずや)
TEL: 029-860-4383
E-Mail: TERABE.Kazuya=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
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