腐食特性グループ

高度経済成長期に多く建設されたインフラ構造物の腐食による高経年劣化が、年々深刻な問題になっています。腐食特性グループでは、多くの腐食課題の解決のため種々の環境下にさらされた金属材料の表面および界面で生じる様々な腐食劣化挙動について調査しています。さらに、それらの機構解明を通してさまざまな使用環境における金属材料の信頼性や耐久性の向上に貢献することを目指しています。

専門分野・研究対象

1. 放射線模擬環境下におけるステンレス鋼溶接金属の応力腐食割れ

ステンレス鋼は表面が保護性のある薄い酸化皮膜で覆われているため全面腐食の進行が非常に遅くなります。しかしながら、ステンレス鋼溶接構造物における溶接接合部では、応力と腐食環境の相互作用で腐食によるき裂が局部的に発生し、その亀裂が時間と共に進展する応力腐食割れ(SCC : Stress Corrosion Cracking) が大きな問題となっています。本テーマでは、放射線環境を模擬するために、
(1) 高温高圧水に過酸化水素を添加する方法
(2) 紫外線をその場照射する方法
をそれぞれ採用することにより、放射線模擬環境下におけるステンレス鋼溶接金属における樹状結晶組織のSCC発生・伝播過程を明らかにすることを目的としています。


2. Mg合金のための耐食被膜の開発

自動車や電車などの輸送機器の軽量材料として期待されているMg合金は、Mgが生体必須元素であることと腐食溶解性とを活かしたステントや骨固定材のための生体内溶解性金属材料への応用が検討されています。いずれの場合でもMg合金の実用化に必要とされているのは、表面処理による耐食性向上です。本テーマでは、構造材料用の高耐食性被膜から生体用の溶解性被膜まで、使用環境に適した耐食性を示す被膜の開発を目指しています。被膜材料として、結晶構造、結晶性や組成により異なる溶解性を示すリン酸カルシウムを検討しています。


3. 大気腐食環境下における鉄鋼材料の水素透過挙動

近年、輸送機器や社会基盤分野における安全性および省エネルギーの観点から、鉄鋼材料のさらなる高強度化が求められています。しかしながら、高強度化するほど水素脆化の危険性は高くなることが知られており、大気環境下においても腐食によって水素脆化が生じることが報告されています。今後の水素エネルギー社会において水素脆化の課題を解決することは非常に重要であり、そのためには腐食による水素脆化挙動を明らかにする必要があります。本テーマでは、特に透過水素の可視化技術に着目し、大気腐食環境下における鉄鋼材料の透過水素に対する表面電位測定の有用性について検討しています。 


4. 鉄鋼材料の大気腐食評価法の確立と腐食メカニズムの解明

インフラ鋼構造物は長期信頼性を求められるため適切な補修や補強を行う必要があり、その材料選定などを行うためには大気環境下での鉄鋼材料の腐食メカニズムの解明が必要不可欠です。本テーマでは、鉄鋼材料の大気腐食評価法を確立するため、電気化学インピーダンス法による腐食速度のモニタリングを検討しています。また、屋外環境における鉄鋼材料の気温と相対湿度を制御して構築した大気腐食模擬環境下で鉄鋼材料の腐食試験を行い、環境因子と腐食挙動との関係を明らかにすることを目指しています。


お問い合わせ先

腐食特性グループ
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
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国立研究開発法人物質・材料研究機構
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
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