トポロジカル解析グループ

カタチと機能の関係に気づき、理解する

トポロジカル解析グループは、 (1) 離散点データが持つ幾何学的な情報を扱える数学手法を発展させ、(2) 複雑な系に埋もれた秩序やパターンの取り出しを助けると同時に、(3) それらをデータベースや機械学習と相性の良い「記述子」に変換する枠組みを提供することで、(4) 材料のカタチと機能の関係を双方向に理解することを目指します。これにより、データ科学的な材料開発の対象を大きく広げることに寄与します。

物質を原子の集まりとして捉えた場合、各原子の位置の情報は離散点 (とびとびの) データになります。各種顕微鏡から得られるデジタル画像も、明るさの異なる画素 (ピクセル) が集まった離散点データと見なせます。これら離散点データを、そこに含まれる「穴 (輪っかや空洞) 」のサイズ・形状・数で特徴付ける数学手法である「パーシステント・ホモロジー」に基づいて解析することで、複雑な系の類似性や違いを視覚的かつ定量的に取り出すことができます。
例えば、ガラスの中の原子の並び方は一見すると液体と区別がつきませんが、パーシステント・ホモロジーで解析した結果を「パーシステント図」として表示すると、ガラスの方にだけ特徴的な模様が現れます。これによって、ガラスには液体とは異なる秩序構造が存在すると気づくことができ (順方向の解析) 、その模様がどんな原子配置に対応しているかを調べることで、それが同じ成分の結晶に由来していることが理解できます (逆方向の解析) 。
また、パーシステント図をベクトルデータに変換すれば、複雑な系の構造的特徴を示す「記述子」として機械学習やデータベースと連携させ、物性との関連を調べられるようになります。順方向と逆方向の解析が可能であることを生かして、機械学習で陥りがちな「予測できるのに理由が分からない」という事態を避けられるのも大きな強みです。
トポロジカル解析グループでは、この数学的手法をソフトウェア基盤 (HomCloud) の形に整備して提供する一方で、いくつかの具体系を対象として材料のカタチと機能を双方向に理解する実証研究を行っています。


i) 離散点データのトポロジカル解析を可能にする数学手法の開発

パーシステント・ホモロジーは、まだ発展を続けている数学の先端分野です。既に確立された部分を使いやすいソフトウェアとして実装するとともに、数学手法自体の開発やデータ科学や数理統計といった他分野との連携を進めます。


ii) ガラス材料の基礎的理解/高機能ガラス材料の解析とデザイン

種々のガラス材料の合成、SPring-8をはじめとする高輝度放射光施設による測定、計算機シミュレーションによるモデリング、トポロジカル解析を組み合わせることで、未解明な部分が多いガラス材料の基礎的理解を深めます。また、構造と物性の関係を調べることで、より高機能なガラスのデザインを目指します。


iii) 磁性材料の磁区-保磁力-微視的構造の対応関係の解明

電気自動車などのモーターの性能向上にあたっては、磁石だけではなく、鉄心と呼ばれる鉄鋼材料にも注目する必要があります。そこでトポロジカル解析を利用して、電磁鋼板を対象として磁区 (が作る模様) と保磁力や微視的構造 (原子配列の乱れ) との関係を調べ、特性を支配する因子の解明を目指します。


iv) トポロジカル解析の材料科学への応用例の開拓

トポロジカル解析は極めて汎用的なため、少し工夫すれば多くの応用法が生まれます。各種顕微鏡やCTで得られた画像の分析/分類や、界面構造の記述と効率的な探索など、材料科学においてトポロジカル解析が有効な場面を探り、提案して行きます。


グループリーダー

(あかぎ かずと)

赤木 和人

(あかぎ かずと)


お問い合わせ先

トポロジカル解析グループ
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
電話: 029-859-2472
E-Mail: CMI2=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人物質・材料研究機構
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
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